贈与の話⑦ 賢い生前贈与3 第16回(斎藤 英一 先生)

「相続時精算課税」制度はどんな時に使えばいいのだろう?

前回まで見てきた、「相続時精算課税」制度の活用方法について今回は見ていきます。
続時精算課税制度は、すぐには贈与税が課されないので、相続を待たずに財産を次世代に移転することができます。しかしその名の通り、その贈与分を相続時に相続財産に持ち戻して税金を精算する仕組みとなっています。ここでひとつ問題が生じます。贈与した財産が現金であればいいのですが、不動産であると贈与時から相続時までに値上がりした場合は、どちらの評価で相続税の計算をするかという問題です。これは、贈与時の評価で相続を計算することになっています。 すると、贈与時から相続時までに値上がりした場合は、値上がりする前の低い金額で相続計算が行われるため「相続時精算課税」制度を使って贈与してしまった方が有利となります。このように値上がりが予想される財産は、「相続時精算課税」制度に適した財産と言えます。その他にも高収益を生む賃貸アパ-ト等の収益物件も贈与してしまえば、以後のアパ-トから生まれる収益は、贈与を受けたひとに帰属するため、それだけ贈与者の相続財産を減らすため「相続時精算課税」制度に適した財産と言えます。

①値上がりすると予想される財産
  • 区画整理の対象
  • 道路計画地
  • 都市計画の変更
②将来も収益を生み出すと予想される財産
  • 高収益の建物
  • 贈与以後の収益は受贈者が収受

上記以外の活用場面として自分の財産の分割を設計することもできます。
事例として下記のような事例があります。

活用事例

相談者は配偶者を亡くしており、長男は結婚して、近くに自宅を建てて住んでいるが、長女は独身で、病気により就労できない状態で同居している。母としては、自分に何かあった時、残された長女の心配をしていました。そこで長女には、相談者が相続を受けた収益物件を「相続時精算課税」制度を使って贈与して、以後のアパ-トから生まれる収益は、長女の生活費に、そのうえで、自分の相続が発生した場合の遺言を作成して、自宅を長女の住居に、金融資産の多くを生活の安定している長男へ相続させることにしました。これを実行することにより、相談者は長女の生活がある程度見通せたため、とても安心されました。このように自分が元気なうちに相続財産の分割の方向性を決定させる手段としても「相続時精算課税」制度は活用できます。

相続時精算課税

全16回に渡り、相続税、贈与税についてお話をしてきました。
相続に関しては事前の対策が重要であることをお分かりいただいたと思います。

相続で大切なことは
①現状把握…相続が発生した場合どのようなことが発生するかを理解しておく
②納税・2次相続対策…その結果相続税が発生する場合は、納税ができるかどうか確認しておく
③相続税対策後…遺産の分割を含め、納税金額をどのように圧縮していくか対策を考える

相続で大切なこと

このような手順で考えるといいと思います。

当事務所はこのシミュレ-ションを数多く行っています。簡易なシミュレ-ションは無料でも行っておりますので、是非ご相談いただければと思います。。

税理士・行政書士・ファイナンシャルプランナー
税理士法人 斎藤会計事務所 代表税理士

斎藤 英一 先生

1966年東京都中野区出身
1988年税理士登録
むずかしい税金のはなしを“わかりやすく簡潔に説明”をモットー。
相手にとってわかりやすいサービスを提供することを心がけています。
わかりやすい相続税のセミナーを多数開催。
趣味はバスケットボール。小学生のミニバスケットボ-ルのコ-チも務める。

【著書】
「相続のお金の手続き!-これだけ知っていれば安心です-」(あさ出版)共著
「相続の現場55例」(ダイヤモンド社)
「親子で進める二世帯住宅節税」(経営者新書)等多数

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