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Vol.1 自宅に住み続けるか? 施設に住み替えるか?

2019-08-22
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今回から、『あなたは「ひとり」で最期まで生きられますか? –現役ヘルパーが教える老後の知恵』(講談社)の著書・栗原道子さんの連載『年金で暮らせる住まい』がはじまります。

栗原さんは、在宅で約20年お母様の介護を、そして最近ではご主人を在宅・施設を利用しながら看取られました。お母様のときには、まだ介護保険や認知症という言葉のない時代に、しかも情報が今のように集まりにくい環境のなか、在宅介護をされてきたそうです。そのご経験から、快適な高齢期の住まいとはというテーマを追いかけ続け、なかでも年金で暮らせる施設(主に神奈川県)を取材しています。

そこで、今回、「オヤノコト」でも、その住まいの選び方、なかでも“年金で暮らせる住まい”に特化してご紹介いただくことになりました(月2回の更新)。
みなさんの住まい選びのご参考にしていただければと思います。
 

年金で暮らせる住まいとは?

年金と言っても受取額は様々で国民年金は満額で6万5千円、満額もらえるほど今まで掛け金をかけて来なかった人もいます。自立している生活困窮者は養護老人ホームがあり、これは措置施設ですから行政に相談してください。また介護状態になった人は特別養護老人ホームの従来型(多床室)をお勧めします。本人および世帯全員の収入が少ない場合は、居住費や食費は低く設定され、介護サービス費についても高額介護サービス費などの補助金が自治体から支給されます。この項では長く社会で働いてきた方を対象に年金額が男性・月に10万~18万円程度、女性で働いてきた人の平均は10万円、夫婦で奥さんの国民年金も併せると月に20~22万円、夫が亡くなりご主人の遺族年金と奥さんの国民年金で月に13万円程度という方を対象に記していきます。まず、一番には「自分の家で最期まで」を希望する例が多く、その場合は介護保険サービスの「小規模多機能型居宅介護」をおすすめします。これは別の機会に詳しく書きたいですが、今回は自宅以外の「年金で暮らせる住まい」(自立型・介護型・混合型)の情報を主に記していきます。
軽費老人ホームA型、ケアハウス、高齢者優良賃貸住宅、サービス付き高齢者向け住宅の一部、介護付き有料老人ホームの一部、住宅型有料老人ホームの一部があり、個々に探すととても良いところがあるので、次回からはそれらを個別に紹介していきます。
 

年金で暮らせる住まい_元気なうちに住む「自立型」タイプ

養護老人ホーム

経済的・家庭的に自宅での生活が困難な人が優先。食事、入浴、緊急時対応つき。
対象:65歳以上。介護施設ではなく福祉施設。利用は行政の措置決定に基づく
利用料:入所者、扶養義務者の負担能力による。定員・規模によっても異なるので、行政に相談を
メモ:入所希望者は、自治体の高齢者福祉窓口、または民生委員まで申し出る。介護保険の居宅サービス利用可

軽費老人ホームA型

食事つき、個室。トイレ、洗面台は共同の所もある。
対象:60歳以上、月額収入が34万円以下の人
利用料:その人の所得によって異なる(3食込みで、6万円~13万円程度)
メモ:要介護2程度までで、重度になると特別養護老人ホームなどに移る。車いす不可のところもある。全国246カ所。自分で申し込む

自立支援型ケアハウス

個室(全国平均で23㎡)にトイレ、洗面台、ミニキッチン、エアコン付き。デイサービス、ヘルパーを利用して生活できる間は居られる。車いすも自走できれば居住可。
対象:60歳以上の自立者。所得制限なし。自宅があっても利用可。東京の区立のところは区民限定、区民優先だが、他は全国から入居可
利用料:管理費(家賃)は運営主体によって異なる。生活費(食費)は、全国一律で4万5千円~5万円台まで。事務費(人件費)は、所得によって異なる。年金生活者は、月額費用はおおよそ7~10万円程度(3食込み)
メモ:管理費の支払い方法は一括払い(家賃20年分先払い)、併用払い(一部を入居時に、残りを月払い)、分割払い(月々支払う)の3通りある。全国に約1600カ所。介護保険の居宅サービス利用可。

※数は少ないですが、一部の民間の有料老人ホーム(介護付・住宅型)、サービス付き高齢者向き住宅(サ高住)にも、年金で暮らせる住まいがあります。
 

年金で暮らせる住まい_介護のサポートを受けながら住む「介護型」タイプ

介護型ケアハウス

特定施設入居者生活介護の指定を受けたケアハウス。職員が生活支援と介護をしてくれる。
対象:65歳以上の要介護認定者
利用料:管理費、事務費、生活費、介護保険の負担分。職員の人員配置が基準以上の所は手厚い介護料を徴収するところもある
メモ:管理費は自立支援型ケアハウスと同一で一括払い、併用払い、分割払いがある

認知症高齢者向けグループホーム

5~9人を1ユニットとして家庭的な雰囲気の中で暮らす。個室にエアコン、収納付き。
対象:要支援2以上の認知症の人が対象。自治体に住んでいる人
利用料:都市部では入居金はおよそ30~50万円。月費用は13~15万円+介護保険の負担分+おむつ代
メモ:認知症の人が暮らすにはよい環境。トイレ、洗面台、食堂、浴室は共同。内部ではレクリェーション、イベントなど工夫している。看取りまでしているところもある

小規模多機能居宅介護

自宅を本拠地として、通い、泊まり、ヘルパーさんを組み合わせて利用できる。
対象:地域密着型で自治体に住んでいる、要支援1以上の人が対象
利用料:包括ケアで定額制。要介護3で月に約23,000円(地域差あり)。他に宿泊代と食費
メモ:自宅に居るときに限り、訪問看護サービスと福祉用具のレンタルを使える。なじみの職員が昼も夜も看てくれる

そのほかの高齢者向け「施設」

介護老人保健施設(老健)

医師、看護師、理学療法士、作業療法士などが常駐しており、医学的な管理もできる。在宅復帰を目指している施設。
対象:65歳以上。要介護1以上で、病状が安定している人
利用料:部屋代、食費、介護保険サービス費(リハビリ加算、認知症ケア加算、在宅復帰加算など)。世帯収入が少ない人には負担軽減の措置がある
メモ:3カ月ごとに入退所の判定会議が行われる。認知症対応のところと不可のところがある。リハビリは1回20~30分程度で週に3~5回

特別養護老人ホーム(特養)

65歳以上の要介護3以上の人が対象。医師は非常勤で、医療が必要な場合は医療機関に移る。従来型(多床室)、新型(全室個室のユニット型)がある。
対象:施設に直接申し込みをする
利用料:従来型と新型(全室個室のユニット型)では月費用は異なる。所得や資産などが一定以下の方に対して、段階的に自己負担額の限度が定められている
メモ:医療施設ではないため、医療依存の高い人は入居することは困難。介護力によって看取りまでする特養も多い。地域によっては、待機待ちが多い。
 

介護療養型医療施設(療養病床)

長期にわたって療養を要する人の病院。介護型ベッドと医療型ベッドがある。
対象:個人と病院との契約
利用料:月費用は、7~20万円程度。世帯所得、課税状況、介護保険負担割合でも異なる
メモ:ある程度病状が安定している人が医療、リハビリを受けて生活する。2024年で廃止の予定。

次号の予告
Vol.2 次回は「東京のケアハウス取材記」についてご紹介します。

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ライター:栗原道子(Kurihara Michiko)
1944年満州生まれ。 「高齢期の住まい」を追いかけているライター。施設、住まいの中で「在宅」の位置づけが高いことを考慮し、50歳から15年間在宅ヘルパーを経験。介護福祉士。その後、重度認知症の夫を自宅、病院、施設を使いながら看取る。 著書「あなたはひとりで最期まで生きられますか」(講談社)、「年金で安心して暮らせる住まい」(講談社)、住んでみたいシニアのホーム(毎日新聞)、こんな家で死にたい(エクスナレッジ)、年金で暮らせる終の棲家78軒(主婦と生活社)など。