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女性の介護離職

2018-11-30
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先日、ある大企業の管理職A氏から、部下である40代女性社員のことで相談を受けた。
彼女の両親は、東北地方で障害のある兄をみながら暮らしていた。
ところが数年前母親が認知症になり、今度は2人の介護を担っていた父親に進行したがんが発見されたという。遠距離で、一気に3人の介護が必要になった彼女は、思い詰めて「仕事を辞めたい」と言っているとのことだった。

つまり、「退職をとどまらせることはできないか」というA氏に、介護休暇や介護休業制度を活用すること、まずは親の住む地域の地域包括支援センターに相談することをすすめた。A氏も部下の女性も、高齢者の介護などの相談に乗ってくれる「地域包括支援センター」の存在について知らなかったどころか、何をしてくれるかについてもほとんど知識がなく、これでは「介護離職ゼロ」の掛け声も絵に描いた餅ではないかと改めて感じた。

「働く女性の仕事と介護の両立に関する意識調査」(出典)ソフトブレーン・フィールド社によれば、64.8%が仕事と介護を両立したいと回答している。にもかかわらず、弊社の調査によれば、現在の介護や医療に関する制度改正については、約80%のビジネスパーソンが「知らない」と回答していた。

たとえばこの8月に介護サービス費事故負担割合が一部3割に引き上げられたが、この認知度は約25%に過ぎない。まさに、制度を知らなければ、冒頭の女性社員のように、ある日突然「辞めるしかない」と思い詰めてしまうのも無理はない。総務省の「就業構造基本調査」では介護離職のうち9割が40歳代以上、そして8割が女性だ。経産省は、介護離職による経済的損失が年に約6500億円にもなると試算している。年約10万人という介護離職者は、今後、企業運営などの経済活動にも深刻な影響を与えてることはこの連載でも何度もお伝えしている。
A氏のように、40代前後の部下を持つ管理職はこれらの現状をしっかり認識し、部下が介護について相談しやすい環境を整えるとともに、介護と仕事の両立をするうえで必要な情報を提供するなど、積極的に動くことが大切だ。

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このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)

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