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“食”にこだわる「舞浜倶楽部」の工夫

2020-02-03
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グスタフ社長(右)と「オヤノコト」編集長・大澤(左)

 人生100年時代を健康で暮らし続けるためには「食」もとても大事なことだ。

 先日、千葉県浦安市にある介護付き有料老人ホーム「舞浜倶楽部・新浦安フォーラム」を取材した。ここの社長はスウェーデン人のグスタフ・ストランデルさんで、私も10年来のお付き合いをさせていただいている。

 グスタフさんはスウェーデンの福祉のみならず世界中の老人ホーム事情などにも詳しく、彼の考える理想のケアを実現するために日々頑張っている姿勢もあってか、職員の離職率も低い。

 そして、この舞浜倶楽部のこだわりの1つが「食」なのだ。
 グスタフさんは「食は人生において最大の楽しみである」と、日々しっかり配慮されたおいしい食事を提供しているのだが、取材時にいただいたランチにも、さまざま工夫が施されていた。

 たとえばソバは短くしてあり、鴨も食べやすいようにトロミが付けてあった。ふろふきカブも、形はそのままに箸を付けるだけでとろけるような柔らかさ。しかしながら、いかにも介護食のケアフードのような見た目かといえば、まったくそんなことはない。

 話を聞くと、食べる人の状態に合わせて、何と「懐石料理までミキサー食にする」というのだ。写真を見せてもらったが、ミキサー食とはいえ、懐石料理としての風情をまったく壊していない。

 まさに、人生100歳時代となれば、加齢にともない、刻んだり柔らかくしたりと手間をかけなければ食べづらいという人も増えてくるだろう。そうなると、家族一緒に外食する機会も減り、おいしいものを食べる楽しみが奪われてしまうかもしれない。なぜなら年齢や身体状況に配慮したメニューや調理の工夫をしてくれるレストランなど、まだまだ少ないからだ。

 もっとも、介護食やトロミ食はスーパーでも売っているし、高齢者向けの栄養補助飲料なども花盛りだ。
 だが、食事は味や見た目も大事だし、「医食同源」というように、人が生きる上でとても根源的な行為でもある。であれば、ステーキであれ懐石料理であれ、見た目も美しく風味も遜色ないものを、年齢を重ねてもこれまでと同じように食べたいと誰もが思うだろう。

 人生100年時代を健康で楽しく生き抜ける環境づくりを実現するためにも、先の舞浜倶楽部の取り組みを単に「ユニークな老人ホームの取り組み」というだけで終わらせるのではなく、多くのレストランや料理屋さんなどに広げていくべきではないだろうか。
 
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=本記事は、夕刊フジに連載しているものです。

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このコラムを書いた人:「オヤノコト.マガジン」編集長 大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
著書『そろそろはじめる親のこと』(自由国民社)

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