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「自分のこと。ときどき親のこと。第7回~もし自分が要介護になったなら?」

2017-07-26
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団塊世代のA子さんにインタビューすると、「もし自分が要介護になっても、子の世話にはならないわ」ときっぱり。自身が親の介護で苦労した経験から、自分の子どもに同じ思いをさせたくないという気持ちが強いようです。
A子さん同様に「子の世話にはならない」と言う人は珍しくありません。介護保険制度もあることだし、「ヘルパーさんなどプロの介護を受ける。子に介護させるつもりはない」との考えです。
こんな調査結果があります。「団塊の世代の意識に関する調査」(平成24年度,内閣府)
◆要介護となった場合に希望する介護者は?
「配偶者」が最も高く40.7%、
「施設や病院等の職員・看護師等」18.7%、「ホームヘルパーや訪問看護師等」15.5%、
「特にいない」10.5%、
「子ども」9.4%
やはり、「子ども」を希望する人はそれほど多くないですね。一方、希望の介護場所についても聞いています。
◆要介護となった場合に希望する生活場所は?
「自宅」が最も高く38.2%、
「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」16.1%、
「わからない」15.9%、
「病院などの医療機関」12.4%、
「介護老人保健施設」8.6%
この調査結果から、「配偶者」×「自宅」希望が多いことが分かります。
が…、「配偶者」からの介護って必ずしもあてにはできないのでは…。
A子さんの「子どもの世話にはならないわ」というのは、希望的観測であって、現実はそうはいかない可能性も低くないといえるでしょう。
現実は、年齢を重ねるに従い、なにがしかの支援や介護を要するようになり、家族の世話になることもあるに違いません。それは受け入れざるをえないことなのだと思います。ヘルパーさんを利用しても、24時間滞在してくれるわけでなく、ごく限られた時間の滞在です。
つまり、「世話になることもあるかもしれない」を前提に、そのときの負担が過度にならないよう準備できることは準備しておくことが大切なのでは。

心の準備やお金の準備。
先日、久しぶりの会ったB子さんが、「ひとり暮らしの母は元気です。でも今後を考え、母の希望で私が『任意後見人』になりました。準備万端なので助かります」と晴れやかな顔をされていました。
成年後見については、ときどき聞きますが、任意後見制度の利用の体験を聞いたのは初めてです。
「任意後見制度」とは、将来、認知症などにより判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ「信頼できる人」と任意後見契約を結んでおくものです。実際に判断能力が低下した際にこの「任意後見人」から財産管理等の必要な支援を受けられます。「何を」「どこまで」任せるかも、細かく決めることができるので、自分らしく人生を過ごすことができます。本人の意思によるものなので、周囲の家族などが「どうしたらいいんだろう」と悩むことを軽減できます。
まさに、「準備」です。
「任意後見制度」に限ったことではありませんが、「子の世話にはならない」と希望するなら、何がしかの準備を具体的に進めることが求められるのではないでしょうか。


 

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このコラムを書いた人:介護ジャーナリスト 太田差惠子(Saeko Ota)
介護・暮らしジャーナリスト NPO法人パオッコ理事長 AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)会員 京都市生まれ。高齢化社会においての「暮らし」と「高齢者支援」の2つの視点から新しい切り口で新聞・雑誌などでコラム執筆、講演活動等を行う。1996年、親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、2005年5月法人化した。現理事長。2012年3月、立教大学院21世紀社会デザイン研究科前期課程修了。介護、ジェンダー、ワークライフバランスなどを総合的に学んでいる。個人サイトは「太田差惠子のワークライフバランス」著書に『老親介護とお金 ビジネスマンの介護心得』(アスキー新書)、『故郷の親が老いたとき』(中央法規)、『遠距離介護』(岩波ブックレット)など多数

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