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介護されたくないなら粗食はやめなさい

2017-08-09
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今回は、栄養学・介護予防の第一人者である、人間総合科学大学の人間学部・健康栄養学科・教授の熊谷 修先生にさまざまな研究に基づくお話を伺いました。

高齢期は、病気ではなく老化が健康に直結する

我が国は、既に超高齢社会に突入しています。70歳の女性の約半数が、それから20年生きるということを意味する時代です。そんな人生の後半期は、病気の予防よりも老化への対策が健康づくりにつながってきます。
老化は、“最大のパワー”である予備力に表れます。老化が進むと予備力がなくなり、急いで歩く速さと普段の速さが変わらなくなります。これは危険が迫っている時に逃げられないということ。それが老化の怖いところです。
最大のパワーは、70歳以降から大きく下降します。しかし女性は若い時から筋力が落ち、予備力がなくなっていきますので、早いうちから老化に対する認識を持っておく必要があるのです。

そのためには、足腰をしっかりさせて、要介護リスクを可能な限り低くしないといけません。目安は、(1)家の2階まで上り下りできることと、(2)1キロを休まずに歩けることです。女性の場合、このどちらかができなくなると、3年以内に要介護認定される率が2倍に、両方ができなくなると3倍になるというデータが出ています。

親世代あるいは高齢の家族の要介護リスクをはかる場合は、以下の2点が分かりやすい指標になります。
・散歩に一緒に行き、1キロ歩くことができるか。
・家の2階まで上がって、部屋をきれいに保つことができているか。
また、居間にきれいに畳んだ洗濯ものがおいてある、親や高齢者が座る椅子周りにポットやリモコンなどが増えはじめると、動かなくていいような生活をしているということ、つまり足腰が弱ってきたという証拠でもあります。

タンパク質「アルブミン」が老化の速度を決める

老化の速度を決めている要素はさまざまありますが、老化を遅らせるために最も重要なのは、身体の栄養状態です。
中でも注目して欲しいのは血液中のアルブミン。アルブミンとは、タンパク質の一種で、血液中のタンパク質の約6割を占めています。アルブミンには、炎症を抑え、身体の酸化と脱水を防ぐ、という優れた性質があります。このタンパク質が老化の速度を決めるのです。高齢になるほど、タンパク質栄養失調(私はこれを「新型栄養失調」と呼んでいます)をいかに防止するかが重要な課題になってきます。
血液中のアルブミン値は4.3g/dl以上が理想。3.8g/dl以下で低栄養、4.0g/dl以下は低栄養予備群です。人間ドッグなどで年に1回は測るようにしましょう。
では、どうしたら栄養状態を高められるのでしょうか。
日本人の平均寿命は昭和40~50年代に大幅に伸びました。すなわちこの“老化の遅れ”は食生活に大きな変化があった時期と重なるのです。
この時期、日本人はエネルギーを増やさず、魚に加えて肉や牛乳、卵や油を食べる習慣ができました。つまり伝統的な日本食に加え、多様性に富み、適度に欧米化した食生活を取り入れたということです。地域社会で元気に暮らし続けるためのカギも、ここにあります。


老化を遅らせる食生活の10のポイント
1.欠食は避けましょう
2.動物性タンパク質を意識して摂りましょう
3.魚:肉は1:1に
4.油を使ったおかずを食べましょう
5.牛乳は毎日200CC飲みましょう
6.調味料を上手に使って、おいしく食べましょう
7.食材に関心を持って、食事を作りましょう
(レシピを見て作るだけでなく、よりおいしくなる料理法を考えたり、食品の保存法に関心を持ったりすること)
8.食材を自分で購入し、自分で食事を作り、誰かにご馳走しましょう
9.人を誘って食事をしましょう
(人を誘ったり、待ち合わせをしたりするなど、人間として必要な能力を使うこと)
10.余暇を取り入れた運動を習慣づけましょう
(ただ歩くだけでなく、たとえば出先で美術館に入り、そこで情報を得ることなど)

7~10のように、食生活に創意工夫を凝らしたり、レジャーを取り入れたりすることが、アルブミンを増やし、健康状態を高めることにつながります。そしてタンパク質栄養が高まると、骨や筋肉が身体に占める割合が増え、身体つきががっしりしてきます。病気と要介護リスクを予防するためには、このような総合的活動が重要です。

親子・家族間の情報を共有して高齢の家族の身体状況を把握しよう

子世代が親世代の身体状況を判断する際には、親や家族が静かな生活を送りだすと身体が弱り始めているサインだと思ってください。 離れて住んでいる場合は、週に1回は電話をして、日頃の生活のイメージをつかんでおきましょう。親子・家族間の情報をいかに共有していくかが、サインに気づく大きな分かれ目になります。 「新型栄養失調」は決して親や高齢の世代だけの話ではありません。50~60歳代の子世代にも表れ始めています。子世代も自分の問題として食生活を見直して欲しいと思います。

<お話をお聞きした人>
人間総合科学大学の人間学部・健康栄養学科・教授の熊谷 修先生
栄養学・介護予防の第一人者(取材・文 坂口鈴香)

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