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親の介護に使える「介護ローン」

記事の発言・監修・ライター
「オヤノコト」パートナー相談員 ファイナンシャル・プランナー 村井英一(むらい えいいち)

家族の生活設計の相談を多く受けている。介護の費用について詳しく、老後の生活資金についてのシミュレーション分析を得意としている。CFP、FP技能士1級

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介護にはまとまった資金が必要になることがあります。例えば、有料老人ホームに入居する場合、毎月の費用とは別に入居時に「入居一時金」がかかるのが一般的です。その金額は施設によってまちまちですが、数百万円から数千万円にもなります。

一方、自宅で介護をする場合も、自宅の改修などでまとまった資金が必要になる場合があります。浴室の拡張や玄関にスロープを付けると20万円以上かかりますし、自宅に昇降機(エレベーター)を設置すると50万円以上もかかります。介護のための自宅改修には介護保険から費用の1割(上限20万円)が支給されますが、それでも一度にまとまった資金が必要です。
 

介護専用の「介護ローン」

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一時的な費用を貯蓄で賄えればよいのですが、十分な貯蓄がない場合に検討したいのが、金融機関からの借入です。金融機関によっては、介護のための費用に限定した「介護ローン」を用意しています。用途が自由なフリーローンに比べて金利が低いことが多いので、検討してみるとよいでしょう。
 

条件などの詳細は金融機関によって異なりますが、主な特徴は次のようなものです。 資金の利用目的は、介護のための費用に限られます。具体的には

  • 介護施設の入居一時金、保証金など
  • 介護のための自宅改修費用
  • 車イスや介護ベッドなどの介護機器の購入費用

などです。医療のための費用は対象外になっています。

利用できるのは、20歳以上の安定収入がある人で、70歳までに完済できる人などとなっています。
介護の対象者は、本人、配偶者、3親等以内の血族・姻族となっていますが、利用できる人を考慮すると、おおむね「親の介護のため」に限られてくるでしょう。

金融機関が保証会社を利用しますので、担保及び保証人は必要ありません。ただし、ローンのための保険である団体信用生命保険への加入が必要なところもあります。
金利は変動金利で、毎月の返済額が変わらない元利均等返済が一般的です。
担保や保証人が必要なく、フリーローンに比べて金利が低いのが魅力ですが、扱っている金融機関が少ないのが難点です。

金融機関の「介護ローン」を利用するときには、きちんとした資金計画を!

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「介護ローン」は金融機関によって、条件・内容が異なりますので事前の確認が必要です。
いくつか、代表的なものをご紹介します。

●千葉銀行「ちばぎん介護ローン」

  • 最大借入金額:500万円
  • 最長返済期間:10年
  • 金利(2023年2月時点):5.00~5.30%

●山梨中央銀行「介護ローン」

  • 最大借入金額:300万円
  • 最長返済期間:7年
  • 金利(2023年2月時点):2.775~3.475%

●大垣共立銀行「介護ローン」

  • 最大借入金額:500万円
  • 最長返済期間:7年
  • 金利(2023年2月時点):2.975%

●伊予銀行「介護サポートローン」

  • 最大借入金額:500万円
  • 最長返済期間:7年
  • 金利(2023年2月時点):2.6%

千葉銀行は、利用できるのが千葉、東京、埼玉、茨城、神奈川(一部地域を除く)に限られますが、インターネットで手続きが完了するのが特徴です。

他にも、各地の労働金庫で扱っている「福祉ローン」も介護費用を対象にしています。一方、常陽銀行の「医療介護ローン」は、がん先進医療費だけを対象にしており、介護費用には使えません。このように、それぞれの金融機関で条件が異なりますので、個別に確認をする必要があります。

「親の介護のために、一時的にまとまった資金が費用だ。しかし、すぐに用意できる貯蓄がない」という時には、介護ローンが有効です。もちろん、ローンですので、融資を受けた後は返済をしていく必要があります。利用する場合は、十分に資金計画を立てることが大切です。

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