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親の介護のお金、どう備える?

2017-09-05
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親からけがや入院の連絡が入ったり、弱音を吐かれたりして、びっくりしたことはありませんか?
それは親からのSOS。受け止める心の準備が必要です。
心の準備とともに必要なのがお金の備え。
ファイナンシャル・プランナー(CFP)の竹下さくらさんにお聞きしました。

親の介護を「想定内」に

新聞やテレビで介護の現場が報道されていても、どこか他人事、と考えている人は多いものです。お子さんのいる家庭では、教育費や住宅ローンで手いっぱい。その先には自分たちの老後資金も必要に。「親の介護をどうするか」という視点や資金計は入る余地がないのですね。けれども、親に介護が必要となる可能性はとても高いといえます。第1号被保険者の75歳以上に占める要介護・要支援認定者は3割を超えています(厚生労働省「介護保険事業状況報告」平成28年4月分より)。つまり、確率的にいえば、結婚していて双方の両親(4人)が75歳を超えれば、その内1人は介護することになってもおかしくないわけです。
いざそのときが来た時に慌てないために、「親の介護を『想定内』と考えられる準備を始めておきましょう。法的にも、親に対する扶養義務はあるわけで、基本的に、子は『何もできない』と逃げることはできません」。
 

「公的介護保険制度」を利用する

ただし、子の役割があるからといって、全面的に介護を担う必要があるということではありません。「介護サービスを駆使したり、お金を出したりと知恵を絞って、専門家を交えながらベストを尽くせばいいのです」。
介護の柱には「公的介護保険制度」があります。まずは、その内容をしっかり理解することから始めましょう。原則として65歳以上で介護や支援が必要と認定を受けた人が1割または2割(所得による) の自己負担で介護サービスを受けられる制度です。認定は要支援1~2、要介護1~5までの7段階に分けられ、それぞれ1カ月ごとの支給限度額が決められています。
ちなみに、もっとも重度の要介護5で支給限度額は360,650円/月。1割負担だと36,065円ですね。この範囲でサービスを利用することができます。「お金を直接もらえるわけではなく、サービスとしての『現物支給』だということを押さえてください」。

準備したい親の介護費用は?

では、この自己負担分は誰が支払うのでしょうか。「親の介護のお金は、親が、親のお金から出すのが大原則です」。とはいえ、親に蓄えがなく、年金額も十分ではない場合は、子が負担せざるをえない事態にも…。

そこで気になるのは、介護のお金をどれくらい準備すればいいかということ。介護にかかる費用は、公的介護保険制度の自己負担分のほか、公的介護保険制度の対象とならない費用も発生します。
例えば、配食サービスは公的介護保険制度のサービス対象外なので、民間に依頼すれば当然全額自己負担です。おむつを使うなら、1カ月分だとかなりの負担に…。
「どういう介護が必要になるかは個別に違ってきます。そこで、あくまで目安ということになりますが、月5万円×12カ月で60万円。介護の平均期間4年11カ月((公財)生命保険文化センター「平成27年度生命保険に関する全国実態調査より」)からおよそ5年と考えて300万円くらいの予算取りをしておくと、とりあえずは安心です」。

「制度」や「民間保険」を賢く活用

やっぱりお金がかかる…、と不安になりますが、軽減するための制度もあります。
公的介護保険制度では、自己負担額が高額になり過ぎないように「高額介護サービス費」という〝1カ月あたりの自己負担上限額〟が設けられています。また、介護を要する親は医療費も高くなりがち。それらを合算して負担を軽減させる「高額医療・高額介護合算療養費制度」もあります。詳しくは、役所の介護保険の担当窓口で聞いてみましょう。

さらに、「親がどのような民間保険に加入しているか確認してください。終身保険の場合、保険料払込が満了すると、そのまま死亡保障を継続するほか、老後の年金や介護保障などにも移行できるものもあります。さらに、お金が必要となったときには『契約者貸付』を利用することも。
通常、解約するよりもお得です。民間介護保険の取扱い等も保険会社の担当者に相談してみては?」。困ったことや分からないことは、抱え込まずに専門家に聞く。介護のお金を備える際には、欠かせない姿勢だといえそうです。

●公的介護保険制度のサービスとは

サービスを利用できる人は
①原因を問わず要介護(要支援)状態と認定された第1号被保険者(65歳以上)
②末期がんなどの加齢に伴う特定疾病(16種類)が原因で、要介護(要支援)状態と認定された第2号被保険者(40歳以上65歳未満)

要介護度と1カ月あたりの支給限度基準額
要支援1 50,030円 (5,003円)
要支援2 104,730円 (10,473円)
要介護1 166,920円 (16,692円)
要介護2 196,160円 (19,616円)
要介護3 269,310円 (26,916円)
要介護4 308,060円 (30,806円)
要介護5 360,650円 (36,065円)
※( )内は、自己負担額

住宅改修費
200,000円(原則として1回限り)

福祉用具購入費
100,000円(1年)

2016年4月現在
※支給限度基準額は、若干の地域差があります。
※自己負担額は、上記の支給限度基準額の1割または2割(所得により異なる)。2018 年には、介護保険の見直しにより、現役並みの所得の親世代の自己負担額を3割に引き上げることが決まっています(2017 年7月現在)
※公的介護保険制度のサービスを利用するには、まず要介護認定の申請が必要です。手続き・詳細については、お住まいのエリアの地域包括支援センターへ

お話をお聞きしたのは

ファイナンシャル・プランナー
竹下 さくらさん

損害保険会社および生命保険会社の本店業務部門を経て、1998 年よりFPとして独立。現在は、主に個人のコンサルティングを行うかたわら、講師・執筆活動等を行っている。
主な著書:『「介護が必要かな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社2012)、『認知症マネーまるわかりガイド』(共著、アールズ出版2013)、『女性のためのお金の教科書』(宝島社2014)ほか

 

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