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聴こえの低下を感じたら早いうちに補聴器を!補聴器をつけて、もう一度人生を楽しもう

2017-11-02
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清水 大輔 さん
株式会社 リードビジョン 代表取締役

日本の難聴者数は約1430万人。65歳以上の約半分とも言われています。そんなに多いの?と思う人は少なくないのではないでしょうか。

聴こえに悩みを持つ人は多いのに、補聴器を利用している人は14%の約200万人と、難聴者数に対して非常に少ないのが現状です。聴こえていないことを隠して、聴こえているふりをしたりする親世代も多いようです。

理解が進んでいない聴こえの問題について、小型補聴器専門店ヒヤリングストアを展開する株式会社リードビジョン代表取締役の清水大輔さんに「オヤノコト・マガジン」編集長大澤尚宏がお話を聞きました。

ネガティブに捉えがちな補聴器 前向きに受け入れてほしい

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大澤 私の母親は80代なのですが、もう20年ほど補聴器を使っていたということをつい最近知ったんです。いろんなものを使っては効果がないので、また新しいものを買うという繰り返しだったようです。聴こえの改善についてはあきらめているらしいのですが、私にとっては20年も経った今になってその事実に気付いたということの方が衝撃でした。
親の聴こえについて無関心だったと恥ずかしく思っています。

親の耳が遠くなると、災害時などに必要な情報が入ってこないなど、不便というよりも生命の危険にも及びます。早いうちに補聴器を利用した方がいいとわかってはいても、母の経験からも補聴器をつくっても聴こえは改善されないのではないかとも思います。

いったいどうしたらいいのでしょうか。

清水さん テレビの音量が大きいなど、親の聴こえが低下していることに子どもが早く気付いて介入することが望ましいのですが、遠くに住んでいたりすると親に会う機会も少なく、親の身体の変化に気付いても対処を先送りしてしまう。一方親も、老化していることを認めたくない気持ちがあるので、子どもから耳が遠いことを指摘されると気分を害することもありますね。

そうなると、子どももそれ以上は強く言えなくなってしまいます。耳が遠くなることも老眼が進むことと同様だと受け入れられるようになってほしいのですが。

子どもは聴こえの改善をするきっかけを上手つくってほしいですね。それは親だけでなく、子ども自身のためにもなるのです。

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大澤 親もそうですが、子世代も加齢により親の身体が弱っていくことにネガティブな印象を持っているのでしょうね。

清水さん 欧米人はプラス思考ですが、日本人はまじめでストイックなので、補聴器に対してもネガティブにとらえているのかもしれませんね。

補聴器の普及率は、欧米の3分の1ほど。使用しはじめるのも、日本人は80歳近くなってからと欧米よりも20年くらい遅いと言われています。自分の人生を楽しむために、あるいは生き生きと働くためにも補聴器をつけるというイメージを持ってほしいのです。

私も率先して補聴器のイメージを変えていきたいと思っています。補聴器を受け入れて、「もう一度人生を楽しもう」と元気を与えたいですね。

大澤 それは補聴器だけの問題ではないですね。特に日本人男性は楽しみ方自体がわからない。そこに社会全体の大きな課題があるのではないでしょうか。日本全体が高齢社会に対してネガティブなイメージを持っているので、そうではないという前向きな空気をつくることが大切だと思います。

聴こえの低下を感じたら 親と一緒に補聴器店に行こう

大澤 では、子世代はどう行動したらいいのでしょうか。

清水さん 聴こえは親の生活に直結しており、人生を豊かにするものであるということを子世代は理解してほしいですね。

そして親に充実した人生を送ってもらうためにも、子世代が早いタイミングで介入しましょう。聴こえの低下を感じたら、うまく声をかけて補聴器店に行ってください。

その際、決して親だけに任せず、子どもが一緒に行くことが重要です。親世代が一人で来店される例が増えていますが、使い方を誤る場合もあるし、使わなくなることも多い。

しかしそのときに家族の理解があれば、違ってきます。補聴器店の力だけでは限界があり、家族の協力は不可欠です。補聴器購入の最初の段階から家族がかかわってほしいと思います。

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大澤 聴こえの低下を感じたら早めに補聴器を使うことが良いとはわかっていても、母のように補聴器を使っても聴こえないからあきらめて使わなくなると不幸です。

そのポイントは補聴器店選びではないでしょうか。

清水さん まったくそのとおりですね。

おすすめできるのは、いろいろなタイプを借りて試せる、購入したあともアフターメンテナンスがしっかりしているという2点を満たした補聴器店です。聴力はゆっくり低下するので、親本人は今の静かな状態が普通だと思っています。

ですから、補聴器を借りたときに、今までの状態は聴こえていなかったんだと自覚していただくことが大切です。それから、我々は購入後3カ月は最低3回から5回は音の微調整に来店いただいています。

使用される方がどんなときに困っているのか、どんな場面で聴きたいと思っているのかヒアリングして、求めているものに近づけるためです。趣味の場面で使いたいのか、仕事で使いたいのか、環境も違うので、ご本人のゴールには個人差があります。

聴こえを理解してもらいながら、補聴器の効果の限界についても説明しています。

大澤 限界とはどういうことでしょうか。

清水さん 人間は、脳で言葉を聴き取っています。だから聴力の低下が進むと、音が脳に届かなくなるので、脳が言葉を正しく認識できなくなるのです。

補聴器を使うことで、音が大きく聴こえても、言葉としては正しく聴き取れないこともある。外国語は、大きな音で聴いても言葉として聴き取れないのと同じです。

この限界を理解していただかないと、「なぜ補聴器を使っているのに、以前のように聴こえないのか」と、ご家族と補聴器店の間に認識のギャップが生じることになるのです。補聴器店に子世代も同行してほしいと言ったのはそういう意味もあります。

どこまで聴こえが改善するのか、補聴器店も説明しますが、お客様のゴールとご自分の今の聴力が高い場合、そこまで届くのは不可能なのです。補聴器の限界を理解いただいて、ゴールを下げることも補聴器店の仕事です。

大澤 なるほど、そういうことなのですね。

サービスの質は「モノ」よりも「人」 豊かな人生づくりのプラットフォームを目指す

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大澤 眼鏡チェーン店など「補聴器のお試しできます」という店は増えたように感じます。

清水さん 確かにそうですね。ただ1週間お試しできたとしても、その判断はお客様側にゆだねていることも多い。

補聴器業界は「認定補聴器技能者のいるお店で買いましょう」とは言っていますが、その能力にもばらつきがあるのも事実です。

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大澤 ユーザーの立場からすると、福祉系のサービスは最終的には「人」だと思います。ところが認定補聴器技能者といっても、どのレベルなのか我々には判断できません。明確な基準があれば、補聴器店選びもしやすいのですが。

清水さん 欧米では補聴器を販売する場合は有資格者がその方に合った補聴器をすすめるシステムがあります。

それに対して日本は補聴器のメカニックな部分にのみ注目して、お客様に目が行っている販売員が少ないように感じます。お客様は補聴器を買いたいのではなく、不便なく聴こえることで人生の豊かさを求めているのです。

機械だけを見ていると「これだけ音が出ているのになぜ聴こえないのだろう?」ということも起こる。お客様への理解が足りないから聴こえないのかもしれない。モノサシ自体が違っているのです。

大澤 靴を購入する際、試し履きしたお客様に「どうですか?」という聞き方しかできない販売員がいます。それでは答えられませんね。
それを見てくれるのが専門の販売員であるはずです。コミュニケーションができていない販売員が多いと感じます。

清水さん まったく同じですね。感覚的なことがらを言葉で伝えることはむずかしい。相手が答えやすい問いかけをすることも重要なのです。

大澤 私は老人ホーム取材をすることが多いですが、人生の大先輩が最後の時期を過ごすために何ができるのか考えると、接客は本当に大切だと思います。モノの品質より、人の質が大事だと感じますね。

清水さん お客様に喜んでいただくサービスを提供するためにも、私自身も、従業員も人格を高めないといけないと気持ちを引き締めています。

そのためには、従業員が「幸せだ」「この会社で働いてよかった」と思えないと良いサービスはできません。

またお客様にも「ヒヤリングストアだから大丈夫」と思っていただけるような存在でありたいですね。

そして、年齢に関係なく趣味を楽しんだり、旅行をしたりと、出かける楽しみを味わって幸せになってほしい。そんなプラットフォームを目指しています

大澤 今日はどうもありがとうございました。

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小型補聴器専門店「ヒヤリングストア」(株式会社リードビジョン)

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ライター:坂口鈴香(Suzuka Sakaguchi)
20年ほど前に親を呼び寄せ、母を看取った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて考えるように。施設やそこで暮らす親世代、認知症、高齢の親と子どもの関係、終末期に関するブックレビューなどを執筆 してきました。これまでに訪問した親世代の施設は100カ所以上、お話を聞いた方は数えきれません。今は「オヤノコト」が自分のコトになりつつあり、自分の変化も観察しているところ。